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歯周病が糖尿病・メタボリックシンドローム・骨粗鬆症などと関係していることが明らかになってきた。
糖尿病・メタボリックシンドローム・骨粗鬆症
生活習慣病の1つである歯周病とさまざまな全身疾患に関係があることが近年の研究結果から明らかになってきています。
医学の父ギリシャの医師ヒポクラテスは、細菌の存在が知られていなかった時代から、お口の病気を無くせば全身の健康が回復すると言うことを説き、歯石を除去する道具を開発していたそうです。
成人の80%が歯周病に罹患
現在成人の80%が歯周病に罹患していると言われ、さらに60歳になると、そのおよそ40%が重度の歯周病に罹患していると言われています。
中高年では珍しくない病気になってきたが、時と場合によっては放置しておくと致命的になることもあります。
その理由として歯周病が糖尿病、骨粗鬆症、冠状動脈疾患(心筋梗塞、狭心症など)、脳血管障害(脳梗塞、くも膜下出血、脳出血など)、癌やメタボリックシンドロームと密接な関係にあることが近年の研究結果からわかってきたからです。
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歯周病と骨粗鬆症・骨密度
骨折リスクが高くなる骨の疾患
2000年のアメリカ国立公衆衛生研究所(National Institute of Health:NIH)の会議で「骨粗鬆症は、骨の強度(骨密度と骨質)の低下によって骨折リスクが高くなる骨の疾患」と定義している。
歯周病と骨粗鬆症の関係
そもそも、なぜ歯周病と骨粗鬆症の関係が注目されるようになってきたのでしょうか?
骨粗鬆症と歯の喪失の原因でもある歯周病との関連性の研究は、1960年代後半より骨粗鬆症による全身の骨量減少と歯周病による口腔内局所の歯槽骨の吸収に共通点があるのではないか?という疑問から始まりました。
現段階では2つの疾患の関連性を決定づけるエビデンスはありませんが、実際、さまざまな論文で関連性があると結論付けているものもあります。一方で全く関係無いと結論付けているものも多くあるのが現状です。
女性ホルモンのエストロゲン分泌の低下
ただ、閉経後骨粗鬆症は、閉経による卵巣機能低下によって女性ホルモンのエストロゲン分泌が低下することによって起こり、このエストロゲン低下が骨代謝に大きく関与し、結果として歯周病の進行にも影響を及ぼすことも分かってきています。
骨代謝が大きく関与している病気
歯周病も骨粗鬆症も骨代謝が大きく関与している病気です。歯周病を治せば骨粗鬆症が治るわけではありませんが、少しでもそのリスクを下げるためにも歯周病のケアを大切にしていただきたいと考えています。
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歯周病と全身疾患
歯周医学(periodontal medicine)- 歯周病と全身疾患
近年、各種メディア、インターネット上ではもちろんのこと、各地で歯周病と全身疾患について医科と歯科の合同でシンポジウムが開催されるようになり、一般的に歯周病と全身疾患についての関連性が周知されるようになってきます。ごきそ歯科医院に通院されている患者さんからもよく歯周病と全身疾患に関する質問をいただきます。
20世紀初頭から歯周病、カリエス(虫歯)という疾患が慢性感染病巣として遠隔の組織、臓器に影響を及ぼしていると言われてきましたが、十分な科学的な証拠が乏しかったために特に注目されることはありませんでした。
しかし、ここにきて多くの研究者が歯周病と全身疾患・全身状態との関連の研究を始めています。
アメリカ『USA today』では「floss or die」というセンセーショナルなメッセージを発表しました。これはフロスで歯周病を予防するか、死ぬかという意味です。また『wall street journal』ではhealth plans expand dental benefits「生活習慣病等への医療費支出抑制を期待し、全米大手の健康保険会社が歯周病治療に対する補償範囲を拡大した」と報じました。
歯周病がさまざまな全身疾患と関係している
このように、世界的に歯周病がさまざまな全身疾患と関係しているという考え方が一般的になってきました。
近々ホームページ上で歯周病と全身疾患(特に糖尿病、骨粗鬆症など)との関連性、歯周病予防(歯周治療)の重要性、さまざまな歯周病のリスクファクターとしてのライフスタイル要因について書く予定にしています。
詳しくは「歯周治療」のページをご覧ください。