数年前までの当医院への受診の理由
数年前までの当医院への受診の理由は
1 歯が痛い
2 歯ぐきが腫れた
3 歯が欠けた
4 詰め物や被せ物がとれた
5 入れ歯が壊れた・・・
といった主訴がほとんどでした。
ごきそ歯科の最近の傾向としては、カリエス(ムシ歯)にならないように、痛くならないようにと、早期発見・早期治療、さらにはこの先病気にならないための治療を求めて来院される方が増加しています。
う蝕が無い方、歯周病が軽度な方はこの先発症しない為のコントロールを、治療した方でも再発しないようにしっかりとコントロールしないとすぐに2次的にう蝕、歯周病が再発します。
そのため、ごきそ歯科医院では「口腔メンテナンス治療・予防歯科治療」という概念を作り患者さんにお話させていただいております。
研究論文の紹介
いつまでも自分の歯を残すためには定期的なメンテナンスが必要であることを示す1972年から30年間にわたる研究論文があるので紹介します。
The long-term effect of a plaque control program on tooth mortality,caries and periodontal disease in adults. Results after 30 years of maintenance. J Clin Periodontol. 2004 Sep;31(9):749-57. P.Axelsson B.Nystrom J.Lindhe
この論文は歯周治療の権威であるAxelsson Nystrom Lindheらが500人以上の人を対象にテストグループとコントロールグループに分けて3年、6年、15年、30年ごとにお口の中をチェックしてデータを取って、定期健診(メンテナンス)の重要性の科学的根拠を示したものです。 始めの2年間は2ヶ月に1回、その後は3~12ヶ月に1回来院していただき、その都度歯科衛生士による染め出しと、PMTC(機械的歯面研磨)およびフッ素塗布を行った。
1971年のメンテナンス開始時の年齢によって、3つのグループに分けて、定期的にメンテナンスを行った人が30年間の間に失った歯の平均本数をみてみると、次のようになる。
30年間で失った本数
(1)20~35歳(メンテナンス開始年齢) 0.4本(50~65歳時で調査)
(2)36~50歳( : ) 0.7本(66~80歳時で調査
(3)51~65歳( : ) 1.8本(81~95歳時で調査)
平成17年に厚生労働省が発表した日本の年齢別の失った歯の平均本数(歯科疾患実態調査)と比較してみるとこの数字のすごさがよくわかります。
(1)50~54歳 3.7本
(2)55~59歳 5.0本
(3)60~64歳 7.1本
定期的なメンテナンスが大切
アクセルソン等の研究で歯を失った理由の大半は歯の破折で歯周病や虫歯で失ったのはわずかに21本だった。と言うことから、定期的なメンテナンスがいかに歯を失わずに保てるかと言うことがわかる。
また若い時期からしっかりとメンテナンスをしている人ほど歯を失っていないことがよくわかる。
また、30年間の間に新たに発生した虫歯の平均本数は、
(1)20~35歳(メンテナンス開始年齢) 1.2本
(2)36~50歳(メンテナンス開始年齢) 1.7本
(3)51~65歳(メンテナンス開始年齢) 2.1本
このうちの約80%は、以前に虫歯治療を行った部位の2次的な虫歯でした。
これらの結果からメンテナンスを続ければ、高齢になっても歯を失わないことがわかりました。
さらに、新たな虫歯の発生もほとんどないということを示しています。 このような長期にわたる研究結果をもとにごきそ歯科では歯科衛生士による定期的なお口のメンテナンスをみなさんにすすめています。
日本で定期的に歯科医院にてお口の健康管理をしている人は人口の2%に過ぎないと言われていますが、実は現代の歯科治療は予防こそが治療の主なのです。予防歯科の盛んなヨーロッパ(特に北欧)では日常的にお口の中のケアをしている人がたくさんいます。
口腔メンテナンス治療・予防歯科治療
ごきそ歯科医院が提唱させていただいている「口腔メンテナンス治療・予防歯科治療」は単に早期発見・早期治療をするだけではなく、患者さん一人ひとりの状態を把握し、一人一人に合った予防プログラムを考え、これから将来に向かって病気を作らないことを目標としています。
具体的には、プラークチェック(磨き残しのチェック)を必ずさせていただき、ブラッシングのお話をさせていただきます。また、歯石の除去、PMTC、フッ素塗布を行います。
この記事をご覧になった方は下記の記事も合わせてご覧になっています。