小児のアレルギー性鼻炎と歯科疾患(虫歯、歯並びとの関係)

子供のアレルギー性鼻炎が近年増えてきているようです。原因はハウスダストやダニ、ペット、真菌などで、小児期での発症が目立ってきています。慢性的なアレルギー性鼻炎の子供はどうしても鼻での呼吸が難しくなり、口呼吸が主になります。

実は、この口呼吸がさまざまな歯科疾患を引き起こすのです。

口呼吸が引き起こす歯科疾患

①虫歯・歯肉炎

お口の中は一般的には唾液で潤っています。そして、じつはその唾液がプラークなどの汚れを流してくれるのです(自浄作用)。その唾液が少なくなると、自浄作用が低下し、虫歯や歯肉炎になるリスクが増えます。

②口呼吸による下顎後退症になります。

口呼吸になると口が常に開いている状態になり、下あごが後ろに後退してしまいます。また、両側の頬の粘膜が緊張状態になり、上あごの歯並びがV字型になりやすくなります。その結果、上あごと歯が前に突出した、いわゆる出っ歯の様な状態になります(下顎後退型上顎前突)。下顎が後退すると、歯並びや顔つきの問題も出てきますし、顎関節に常に負担がかかるので、将来的に顎関節症になる可能性があります。

今後、医科歯科の連携が重要になってくる分野である

アレルギー性疾患の慢性鼻炎が原因となり、引き起こされる歯科疾患だけに、耳鼻咽喉科などでのアレルギー性鼻炎へのアプローチももちろん必要です。そこで、重要になってくるのが虫歯予防への取り組みです。口呼吸でお口が乾燥するうえに、抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)などの副作用が唾液分泌を抑制するので、よりお口が渇く状態になり、虫歯や歯肉炎になるリスクが増えるのです。

日本では、欧米と比べて歯科予防処置が市民権を得ているとはまだ言えないのが現状です。小児のアレルギー性鼻炎の治療とともに、歯科での虫歯予防を強化し、子供の正常に近い成長を目指すことが必要です。

 

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